ライン

手強い滝壺のイワナ

ライン


 8月31日晴れ

 まだまだ暑さが残る8月最後の日、当日の朝まで入渓先を決めかねていたが、車走らせると無意識に2年前に羆と遭遇した渓へと向かっていた。

 車を停め入渓準備をしていると一台のバンが近くにやって来た、窓を開け「釣りですか?」と尋ねられので「そう、釣りです。」と答えたら、その人は地元の方らしく「今、子連れが居るので気を付けて下さい。」などと忠告を受けた、子連れとは当然羆の事である、ここでは前歴があるので子連れなくても絶対逢いたくないね、しかし何処に行っても遭遇のリスクはあるので、渓流に入るには万全の準備はしておきたい、装備を再確認して流れに入って行った。



 序盤から20後半のイワナが釣れヤマメも20前半の物が結構釣れて、釣り人を楽しませてくれた中盤に差し掛かると型も小さく数も少なくなる、アメマスも遡上する川なのだが今回は姿を見る事は無かった、昨年もアメマスの姿はあったが少なかった記憶がある。(後で確認したが下流の魚道が機能していなかった。)



 終盤、久しぶりの高低差のある遡行なので息を切らしながら、一気に高度を上げるイワナの型もまた良くなってくる、尺上も釣れ最後の魚止めの滝に到達する、そしてググッとラインが引かれたルアーには大きな魚影が付いていた、しかしラインにかかっていた筈のテンションは直ぐに消えた、昨年もそこで良型を掛け逃がしたのが記憶に残る、「またか!」独りしか居ない渓で肩を落とす、しばらく粘ったがスレてしまったイワナはどうにもできなくそこから引き返した、しばらく川を下り林道に出るが林道もすっかり荒れて背丈を超えるイタドリが覆い被さっている、朝の地元の方の言葉がよみがえる、途中大きな声を上げながら林道を戻ったのだった。


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