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8月14日 道央圏 岩魚の棲む清流

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 8月14日 晴 アメマス35㎝イワナ36㎝

 プロローグ(招待状)

 お盆が近くなり4年前から恒例となった流域への招待状のメールが届いた、招待状の送り主はyamame氏である、日取りは幾つか候補があって、出来るだけ条件の良い日にしようとあった、しかしお盆付近は大気が不安定で全般的に天候が安定しない様でこの前後の天気予報は全く当てにならなかった、最初の候補日は雨予報であって次の候補で14日に持ち越した。



 前夜

 13日は朝からしとしとと雨が降る、雨量は多くは無いので釣りを開始する迄には水位も安定すると予想、釣行日は14日に決行ととなった、13日の深夜に自宅を出る明朝の出会うであろう渓魚を思い浮かべながら行き交う車も少ない道路をひた走る、途中で少しの休憩を取ったが落ち着いて休憩も出来ず予定より早く到着、待ち合わせ場所には30分前に着いたのだった。



 再会

 私の到着後に大差なく一台の車のライトが視界に入ってきた、私の隣に停まった車はyamame氏のwhite bodyの車であった、ナビ席には去年そして一昨年と同行してくれたM氏が予定通り座っていた、yamame氏は1ヶ月ぶりM氏は1年ぶりの再会である、挨拶もそこそこに交わしてまだ暗い林道へ二台の車は潜り込んでいった。


 ▲ 再会したyamame氏とM氏 ▲

 ハプニング


 林道を突き進む、路上の落石をよけ道路が少し欠損している所を慎重に躱しながら超えていく、脱渓予定場所に車をデポする為に入渓場所を通過すると間もなく完全に道路が崩落して無くなっていた、これは想定外のハプニングであり上流部への林道が寸断されているのは確認済みであったのだったが、それはデポする予定のまだ上の筈であった、この地点での通過不能は全く予想していなかっただ、これで脱渓後の林道を数キロ歩く事が追加される事になった、脱渓後歩くのは辛い事だが、1時間ほどの歩きであれば特に問題は無いだろうと判断、その場所の少し手前に私の車をデポしてyamame氏の車で入渓場所に三人は向かった。


▲ 崩落した林道 ▲

 入渓

 その上流への入渓が今年も困難な訳であったので、今回も去年一昨年と同じコースを辿る事になった、そして川辺に降り立った水量は石に付いた跡からして幾分多く見えたのが、今年は渇水が激しかったので幾分水位の高くあった水位も平水に感じた、ウェダー越しに感じる水の冷たさと少しの圧迫感は心地よいものであった。


▲ 美渓に溶け込むM氏 ▲

 実釣


 入渓点からイワナのチェイスがクリアーな水面越しに確認される、ただ針掛かりが浅く水から上げる前にバレてしまうが、今回の釣果は期待して良いとこの時点で確信したのだった、朝はやはり活性が低いのだろうフライのyamame氏とM氏は少々苦戦していたように見えた、しかしそれも徐々に上向きになって反応が良くなっていったのだった、ルアーへの反応は最初から良く至る所からイワナのチェイスがある、実に『楽しい』の一言である。

 その後次々と現れるポイントでイワナや陸封のアメマスの釣果が現れる、石の影流れの淀みぶっつけ瀬や瀬尻あらゆる所から、大小の渓魚の影がスーと現れてルアーを捕らえる、心地良い振動がラインからロッドへ伝わり手に届くだ、渓流アングラーにとっては最高の一時を味わえる、多少掛け損なっても美渓がそれを補ってくれる、景色をひと眺めしてまたキャストすればまた渓魚が遊んでくれる、これが永遠に続く様に思える瞬間であった。


▲ 撮影yamame氏 ▲   ▲ 撮影M氏 ▲
▲ M氏のヒットシーン ▲ ▲ 撮影M氏 ▲
▲ 良型のイワナ達 ▲
▲ 発達した尾ビレはネイティブの証でもあるアメマス ▲

 遡行

 上流へ向かっていくと一級ポイントが次々と現れる、景観も素晴らしく色んな渓相を見せる渓流である、川幅一杯にプールが広がったり、岸が断崖絶壁であったり、荒々しい流れ、岩盤底でゆったりとした流れ、何処からやってきたのか巨石が転がっていたりなど遡行していても飽きないのだ、河畔林も太く大きな木が立ち並び保水力の強さを感じさせる、豊かな川は木や森で支えられている、北海道の豊かな自然は身近にある、ここは渓流アングラーにとっては桃源郷でる事に間違いない。


▲ 夏の渓流の遡行は楽しい ▲ 
▲ 木々の中を流れる ▲ 
▲ 岩盤底の流れ ▲ ▲ 川幅一杯に広がるプール ▲
▲ 断崖絶壁の下を釣る ▲ ▲ グッドコンディションのイワナ ▲
▲ 荒々しい流れ ▲ ▲ 渓の中央に陣取る巨石 ▲

 脱渓

 ただその桃源郷に何時までも居るわけも行かず、現実離れした世界に別れを告げなければならない時が来る、ここは入渓ポイントも少ないが脱渓場所も限られる、林道から直接アクセス出来る場所はほぼ無いに等しい、今回も脱渓には支流を約800メートル遡る、そして今回はそこから林道を歩く事が追加された、ここの林道はアップダウンを繰り返し蛇行している、これが結構辛かった、デポした車まで約45分歩き続けた、車の有り難さが身に染みる事を三人は共感したのだった。


▲ 最後にyamame氏のフライを捕らえた良型のニジマス ▲ ▲ 脱渓地点の渓相 ▲
▲ 脱渓後の林道を歩く 撮影yamame氏 ▲ 

 エピローグ(約束)

 デポした私の車で三人は入渓場所まで戻る、歩いた距離よりは短かっ様だあっという間に入渓箇所に停車したyamame氏の車まで到着した、渓で活躍した装備を解除して帰り支度をする、汗ばんだ身体を心地良い風が吹き抜けていく、さっきまで居た桃源郷が夢の様に感じる、でもしっかりと自分の手にはこの渓で出会った渓魚の感触が残っている、また景観が心の投影機に残されている、脱渓から林道の歩きは辛かったがそれもまた一興である、体力もそこそこ必要で万人向けの渓では無い、私はこの素晴らしき渓に魅了された1人である、同行したyamame氏もM氏も同じ気持ちではないかと思う、そしてまた来年もこの同じ渓で再会する事を約束して別れる事になった。


▲ 林道の帰り道 ▲ 

 後書き

 少々ハプニングがあったのはご愛敬ではあったが、次回までに解消され上流部へのアクセスが可能になる事を期待したい、最後に今回もこの清流に足を踏み入れる事が出来たのは、yamame氏とM氏によるプランと情報によるもので大変感謝するところである。

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